女将の心

2002年初秋

 おかげさまで、忙しい忙しいと仕事に追いまくられて、うれしい悲鳴もあっという間に終わってしまった夏のシーズン。 皆様いかがでしたか。今年の夏は例年にも増して、特に暑かったようでしたね。ペットちゃん達はこの夏を無事乗り越えられましたでしょか。夏の初めに「年をとって、オムツしないと歩けなくなったよ。飛騨の山や川、草の坂道、懐かしく思い出すけれど、僕はもういけそうも無いよー。」一枚のお葉書を戴きました。そこにはか細い足でやっと立っている、茶色の犬の写真。ペットとしてご家族に可愛がられ、その生涯の終盤を迎えているワンコちゃん。もちろん代筆なさったのは、そのワンコちゃんの飼い主様ですが。私は、とてもこの一枚の写真に心打たれました。

 ペットの宿としての歴史も、年重なり増え続けていくお客様に支えられ、おかげさまで「ペット専用旅館の看板」を今年平成14年9月に立て替えさせて戴く事となりました。これもひとえにペット愛好家の皆様のご支援の賜物。弁天荘をご利用いただくお客様のおかげでございます。深く、御礼申し上げます。

 ペットちゃんは、本当に飼い主しだい。旅行に連れてきてもらえる子は、とても幸せなのです。そして「つれてきてよかった」と、お客様のお声を聞くことは宿を営んで行く私の、この上ない喜びです。幸せに浸っていらっしゃるお客様を眺めて、ああ私は、「そんな幸せそうなご家族様の世話ができる旅館で本当によかった」と思うから。幸せのお裾分け、いただいた気分。飼い主様の嬉しそうな顔、はしゃいでいるワンコちゃんの顔。ニコニコしていらっしゃるお客様。とても暖かい気持ちが伝わってきます。ペットちゃん連れのお客様に、より安心してお泊り頂く為に、一般観光客のお客様には、事前に「廊下を歩いているお客様のペットが居ますがよろしいですね。もちろんリードで管理なさっていますから、飛んできてかみつくようなことは一切ありませんよ。犬や猫が嫌いなお方には、ほかの宿をご照会いたしますが」確認をしてお泊り戴くようになりました。

 近頃ではペットの泊まれる宿もずいぶん増えてきて、とてもいいことなのですが「マナーとかルール」とかが厳しく、なかなか条件に合うところが無いのが困りものです。「ペットと泊まれる宿」を取りまとめたインターネット上の束ねのサイトもあります。ついこの間、私も我が家の駄犬。愛犬のレオンを連れてと、インターネットで探してみましたところ。受け入れ宿は星の数ほどあるのに、どれもこれも今ひとつ。 犬の宿泊料がいるのは、まだしも納得できますが、犬の宿泊場所が駐車場とか、犬小屋ゲージでとか。はたまた、近隣のペットショップとかペット美容院とか、これで宿泊といえるのだろうか。うなってしまいました。やっと見つけた同伴宿泊の宿でも、籠に入る小型犬のみとか、生理中だめ、赤ちゃん犬だめ、大きい犬だめ。うるさい条件ばかり。ケージ無ければだめ。バスケットに入る程度の犬とか。ないてはだめ。おしっこしてはだめ。しつけが出来ていければだめ。ロビーだめ、客室だめ。食事のときは連れてきてはだめ。車の中でお留守番させること。
これでもかというほど、だめ。だめ。だめ。のオンパレード。そんなにだめなら「ペット可」なんてうたわなければいいのに。
「レオン、あんたとの旅行はまだまだ難しそうだよ。」一般客の中に一部のペット受け入れ部屋を設けている以上、厳しい宿の姿勢もわからないわけではありませんが、大きい子の泊まれる宿の少ないことに驚きました。

 大きい子は、特殊例を除けば、結構おとなしく聞き分けいいものです。たとえ小さい子でも、バスケットから顔を出さないこととか。廊下などへ客室内から一歩も出ないこととか、ケージ絶対持ってくることなどは、必須状権のようです。「ううーん」やっぱり私無類の動物好きだわ。つぶやく私に、そばにいた[レオン]が、「クーン。」返事してくれます。だから「だめ」といわない弁天荘でやっていこうね。レオンに向かって話しかけてしまう私。レオンは私の愚痴の聞き役。捨て犬、保健所経由の雑種犬。今ではすっかりデブ犬になってしまって、それでも[レオン]は無邪気に尻尾を振っています。犬を見ている私の心が和みます。

 誰だってどこかで、始めてお泊りに挑戦するのです。どうか緊張しすぎず、あくまでもペットちゃんとの時間を大切に、お気軽にお泊り戴きたいのです。そして犬と共に学習していってくださればいい事と思っています。「うちの子に限って、うちでは絶対、おしっこなんてしませんから。」 そうおっしゃいます。小さなかわいらしい犬の飼い主様。そばで申し訳なさそうな、顔をして立ち上がる、ワンコちゃん。足元には小さな水溜り。 一様に「まあ、いつもはこんなことしないのに。どうしてなの・何々ちゃん・・・」「あら、ここにきっと前の犬がおしっこしていたのだわ。そうよ、きっと。」とも、おっしゃいます。犬の匂いがするからだわ。と非難するようにおっしゃいます。「ペットと泊まれる宿に宿泊して、犬の匂いとおっしゃられても・・・・・。 精一杯掃除して、人間にはほとんど感じないレベルまでは努力しているのですけれど、ええ。まあ、そうはいわれましても・・・・」現実のお話です。

 第三者から見れば笑い話になってしまうお話でも、あえてこの話題に触れますのは、飼い主様のご理解と宿の努力と姿勢。そして経営者の考え方をご理解して頂きたく、あえてここに取り上げるものでございます。ペット受け入れ旅館の誰しもが、一部のお客様のために、困っていながら、掘り下げて話題にしたくない部分。「末永くペットの宿としての、ご愛顧いただきたい。」ゆえの、お願いのお話でございます。確かに、そうかもしれません。いろんな犬や動物のにおいはなかなか取れないものです。人間にはわからない、微妙な動物のにおい。お客様からは、「ペットの宿の割には、においがないですね」とお褒め頂くのが嬉しくって、清潔を保つための掃除は一生懸命してあります。

 しかし、犬族の彼らには、見破られてしまいます。「クンクン。ここににおうよ。ちゃんと掃除したの。」犬達がするお掃除チェック。「はは、そこもさせていただきましたが、お気にめしませんでしたでしょうか。」「では早速におい消しスプレーをかけておきますので、どうか気にとれめられませんように。ご容赦くださいませー。」てなわけです。そこに、犬が座っていただけかもしれません。チェックインのときもチェックアウトのときも、犬はロビーを歩き、宿泊記念写真も写りますし、夕食後のひと時、そこは各地から旅されていらっしゃったお客様の、犬連れラウンジにもなるのです。

 犬はテリトリーを決める習性がありますので、人間の150倍の臭覚を持つ優れものです。私が、「犬は飼い主しだい」というのはそこなのです。あってはならない間違いがあったとしたら、現実から逃げることなく速やかに対処すれば本当に些細な、恥もプライドも、何もこだわらない心のままに「アラーごめんなさい。」その一言でいいのではないでしょうか。犬はしゃべれないのですから。玄関のそばにいつも設置してある、犬用のお絞りで自らが拭いてくださりさえすればいいことなのです。わが子と思えば、うんちも拾えるし、おしっこだって拭けるはず。お散歩中の、ウンチし放題放置事件も発生しませんし、ウンチゴミ袋投げ捨て事件も発生しないはず。空き缶どころか、ウンチの入った袋を車の窓からポイ捨て。ロビーや廊下でまさかの失敗をしたとしても。動物ですもの。わかっていますよ。

おしぼり置き場 どんな賢い犬でも、人間の赤ちゃんと一緒の気持ちで接してあげたい。だからこそ、定期的に、設備のメンテナンスは専門ごとに修繕を繰り返しているのです。はずかしいと卑屈になさいませず、わが子の失敗も誰よりも飼い主様が愛してあげてくださいませ。犬はお客様の大切な赤ちゃんですもの。「決してお客様を辱めることなく」スタッフが獣医さんで使っている消毒用のアルコールで、さらに拭いて、お掃除しておきますから。「ワンコちゃんだって興奮もします。旅先ですもの、家ではけっして無いことがありうるかもしれないと、考えて戴きたいですね。」飼い主のお客様にも、弁天荘のスタッフにもいつも言って居る言葉です。

 長い間車の中に一緒に、旅して来ました。人も疲れているように、犬も小さな体で疲れています。「えらいね。よくがんばってきてくれたね。有難う。」どの子に対しても、ほめてやりたい。 いたいけない小さな体で、飼い主様のそばにいたいばかりに一生懸命、ついてきたのです。そんなペットちゃん達はけなげで、いとおしくかわいい。

 お父さんが散歩の後お尻の穴まで、かいがいしくお絞りで拭いていてあげていらっしゃる。いつもの習慣のように、落ち着いて玄関で身をゆだねているワンコちゃん。 飼い主さんとペットちゃんとの信頼関係。 そんな光景を見ていると「ああ幸せそうなご家族。」平和で暖かい気持ちになります。 ほほえましいではありませんか。「可愛いと思う気持ちを一番、大切にしていただきたい。」私はいつも、そう思うのです。「こら、なくな。うるさい。」なんてあわてて口を押さえられている、ミニチュワダックスのおチビちゃん。「いいですよ。」 飼い主様にちょっと耳打ち。「どうか、おしゃべりをうるさがらずに、聞いてあげてください。」足の短い、ダックスにとっては、見知らぬ人に出会う宿では、巨人の国へ行ったのも同然。 ほとんどの犬には、無駄吠えなんて無いと思います。

 彼らは「飼い主様に一生懸命、何かを伝えよう」としているのです。何度か、「よしよしわかったよ。」とか「はいもう終り」とか言う言葉で飼い主様がうろたえず、頭でもなでながら対応してくだされば、どの子もだんだん落ち着いてくる。それは、積み重ねていく習慣で、犬は特に学習して行く賢い動物ですから。「少しぐらい、吠えても強く叱らないであげてください。落ち着くまで気長に。」と、申し上げます。

 特に早立ちのお客様がいらっしゃらない限りは、少しくらい「犬がないたって」いいじゃないですか。「ルール、マナー」びくびくしながら、宿のスタッフに気兼ねしてお泊りするのはお気の毒。せっかく飛騨の山里までお泊りに来たのですもの。のびのびと飼い主さんも、ペットちゃんもリラックスしてお泊り戴きたいですね。どのワンコちゃんも弁天荘について2時間は、部屋の中を探検したり、匂いをかいだり大忙し。時間がたち、そこが自分の住家になったら、侵入者を警戒して、料理を運んでいくスタッフに吠えるのです。「ワンワンワン、お母さん誰か来たよ。」忠実なワンコちゃん。そんなときは飼い主様が、「わかったよ」って抱っこしてあげてください。

 このごろでは、噛み付く犬も飛びついて引っかく犬も、少なくなりました。でも、中には女将自らでないと接しられない、スタッフではお手上げの犬もいます。つい先日の夏の終わりのこと。夕食後の布団敷きや食器の荒い片付けに追われる、旅館の忙しい時間帯の中での出来事。 40キロを超えるほどの元気なゴールデン君は立ちはだかって飛びかかってきました。「まだ、散歩するんだよ。連れて行け」とばかり。唇をむいてうなっています。元気なゴールデン君はタダをこねています。二本足で立ちはだかり、はあはあ、ぜいぜい。 半そでだった私のか弱き、弁天荘を支える細腕に「ガリー」っと、一瞬のことですが、引っかき傷が数本。皮膚は、はれ上がりくっきりと爪あと「とんだ名誉の負傷」です。でも、犬には罪が無いと思っています。

 特殊な例ですが、これこそ「マナーを問いたい」部分。お出かけだった飼い主様が、宿の部屋にお戻りになられましたので「一度おしっこには連れ出しておきましたが、まだお散歩しだらないようですので。どうか、満足するまでお散歩してあげてくださいね。」と、お願いして。力持ちのゴールデン君が引きちぎってびりびりに噛み千切ってしまった、無残に綿の散乱した客室布団を、一枚のみ、5000円。保障していただきましたので、翌朝はご不快なお顔でご出発なさいました。しかし、仕方の無いことなのです。あくまで犬への責任は、飼い主様にあるのです。たとえ、お布団の上でおしっこしてしまったしても、次にお泊り頂くためのお布団丸洗い代金は、お支払い頂かねばなりません。丸洗い実費の額は一枚3500円ほどのものです。シーツのみでしたら、通常の宿泊でも頂きませんので、クリーニングしたシーツかけふを提供しての宿泊代金ですから、 料金は、0円です。多少の備品が傷むこととか、畳がいたむ、じゅうたんが汚れる、これは致し方ないことと覚悟の上でペットの宿をやっているのですから。修繕費は予測して年に何回か定期的に修繕メンテナンスを入れます。

 しかし、おしっこでぐっしょりぬれたお布団を次のお客様に提供するわけには行きません。何かと物入りとは思いますが、その点についてはご理解いただきたいと思います。全部の犬が館内でお漏らしするわけではありません。ごく、まれに。したことのない失敗があっても、動物ですもの。仕方ないことと、宿もお客様も承知の上で、隠すことなくおおらかにご報告いただけるのが理想と思ってます。「おしっこがしたい、散歩がしたいばかりに。」飼い主様は、ご夕食もあわただしく、車に乗ってお出かけ。部屋に置き去りにされたゴールデン君は、車の音を聞き、大声で吠え、「おいていかないでー」と。やがて、腹立ち紛れのいらいら爆発、ゴールデン君客室備品破損の大暴れ。おまけに、ゆるめだった首輪は抜けるし、取り押さえようにも連れ出そうにも大騒動。スタッフでは誰も、そうなると調教師にはなれず、調理場から女将の出番。「私だって犬の調教師でも、猛獣使いでもないけれど。犬が好きだから、何を求めているのか少しだけわかるだけなのよ。」苦笑いをしながら、服に付いた、犬の毛を払っている私に、私の父いわく「まるで、命がけの仕事やなあ。わしは猫派だから。大型犬は特に怖い。」50歳になっても、80歳に手が届く父にとっては、心配な我娘。仕事とはいえ、我娘の勇猛果敢な姿を眺め、ポツリとつぶやいた言葉。そう、世の中には本当に犬が嫌いな人もいるのです。嫌いでなくても怖い人も。手のひらに乗るほどの2キロにも満たないちいさな犬にさえ、ほえられて後ずさりする人。 飼い主さんたちは、一様にどなたも犬好きでも、この人間社会の中には犬が嫌いな人もいることも改めて認識しました。

 いろんなことが忙しく思い出のページをめくり、あっという間の一年。さまざまな思い出と共に、「三十年、宿屋やってきたね。でも、五年後も十年後も、ヘルニアやった腰が痛い、痛いって言いながら、中年太りの身体を揺さぶって館内走り回って、この宿を守って行くのだろうね。女将って言うのは宿のお母さんだからね。」「チャメもミーコもせいぜい長生きしてよね。お母さんにとっては、あんたたちが、かけがいのない子供たちだから。」猫の背中をなぜながら一人つぶやく私。「何の事、にゃあー。お願いだから静かに寝かせて」大きなあくびしながら、薄目を開けてちらりと見たまま、丸くなって眠りこけている「二匹の幸せ者」の猫達。そして隣の寝室では、大いびきの夫。廊下の隅っこで尻尾で目を隠して熟睡中の愛犬レオン。これが、我が家の平和な家庭。そうそう、忘れてならないのが私の父と、父と同い年にまで追いついたお婆猫のチビコ。 この一匹と一人を語らずして我が家の平和は、語れない。

 今年もおかげさまでつつがなく、この夏を健康に乗り越えました。この宿は私が二十歳のとき、父の応援を背に「5部屋のスタートで民宿」を始めたのが、始まり。娘時代は元気と体力に任せて、働きづめ。時代の流れと共に建て増し、改築、改装。最後の建築物は普通旅館を犬や猫の受け入れ旅館という、この不況下に「大好きなわが道」を歩かせていただいて下ります。現在の旅館弁天荘の今日に至っては、お泊り戴くお客様のおかげでございます。ご支援の賜物。心底より深く感謝いたします。

 厳しい社会情勢の中にありながら、おかげさまで弁天荘は、どうにか、木の葉の船。 それでも、人並みに細々と岸から離れたところを航海中です。どうか難破せずに、このまま静かな老後の余生に向かって、波静かに直行できますように。 今後とも、ご支援、護愛顧くださいませ。思えば駆け巡る景色の移り変わりの中に、あっという間の30年でした。宿の中に生きて来た、年月が埋もれて行きます。社会情勢も変わり、観光資源の大切さも唱えられ、さまざまな観光地に、特に国立公園のペット入山は厳しくなり。規制の枠の中でマイカー登山も、いよいよ今年でラスト。 乗鞍スカイラインは今年の夏、予想をはるかに超えて多くの人々でにぎわいました。 二時間待ち、ひどいときは五時間待ちだった乗鞍岳の夏山の賑わいも、今となれば普段の落ち着きを取り戻したかのようです。

 いつの間にか乗鞍のお花畑には音もなく近づく秋の気配。 これから山々は、一雨ごとに寒さが増して行き、青葉から油絵のような鮮やかな色に。最後のお化粧に余念がない時を迎えていきます。真っ白な永い眠りに着く前に、精一杯赤や黄色で着飾るのです。真っ白な山の頂の下にまとう裾模様。飛騨の名も無き山々が色とりどりに染められていく、すばらしい自然。私はこの村に生きていることに、感謝しないではいられない季節です。風に吹かれる稲の緑を眺めながら歩いて。春の柔らかい草の中、かえるを追いかけ、ウサギのように飛び跳ねて遊んだ小道。10年、長くて15年ちょっとで死んでしまう動物の寿命。神様が下さった寿命の中で、一生懸命生きて。家族の役割はたしている子達。ペットショップに売られている子の売れ残りの何割かは、生きたごみのように殺されていく現実。影に隠された、ペットブームの現実。家庭事情で飼えなくなったからと、犬種にかかわらずぽいと捨てられて。どうか、最後まで何があろうと飼ってあげてください。犬には罪が無いのです。 車の洪水の中を必死に生き延びて、ゴミ箱あさって縁の下で雨露をしのぐ。 人間に裏切られたのにもかかわらず、見知らぬ人の優しさに甘え、尻尾を振ってしまう。犬の悲しき習性。つらいことも忘れたかのように、けなげに。 私はそんな犬を見ると、「かわいそうで、かわいそうで。」たまらないのです。山の中の獣におびえながら、かろうじて山猫のようにして生き延びている、野良猫になった猫ちゃん。去勢してもらっていないから、好むと好まざるにかかわらず、悲しい定めの同じ運命の子を四匹も五匹も産んでしまう現実。一度、飼い猫から転落した猫ちゃんは、母猫は擦り寄って頭を擦り付けて甘えてきても、かわいい盛りの子猫たちは、警戒心と凶暴性の中でうなり声を上げて育っていく。「かわいそうで。かわいそうで。本当にかわいそうです。」私には、悲しいけれど、そんな子達をすべて救命してあげるほどの力は無い。

女将の心 だから、選ばれた子達に出来る限り、幸せで居てもらいたいと願う。旅の一夜の宿を提供することで飼い主さんに負担をかけず、幸せなペット生活が継続できるというのであれば喜んで弁天荘の一室を提供したい。「この子が居るから、旅行にも行けない。」そう飼い主さんに恨めしげに、嘆いてもらわないで済むように。弁天荘でよければどうぞ。どうぞ。「ウェルカム、弁天荘。」玄関の白いやきもののシープドックが笑顔で迎えている。飼い主様とペットちゃん、一緒に過ごせる幸せに浸ってもらいたい。ペットをどこよりも大切に考え、大事にする宿だけれど「ペットは無料でいいですよ。」これは女将の最大の権限。「だってワンコちゃんは財布持っていないもの」私のポリシイ。弁天荘のホームページの更新を楽しみにしていただいている、お客様。ごめんなさい。また、今回も更新が遅くなってしまいました。「あ、ああ・・・身体がいくつあっても足らないのです。」本当に、ごめんなさいね。

 このインターネットに発表したペットちゃん達は沢山のお客様の中から、何組かの幸そうなご家族さまを女将の独断で選ばせていただきました。ご宿泊有難うございました。まだこのほかに、弁天荘の館内にはおびただしい枚数のお写真が保管してあります。 沢山の幸せそうなご家族様の、「ペットとお泊りの宿泊記念写真」掲示してあります。 ぜひ見に来てください。前回お泊りのお写真は無料でお持ち帰りいただけます。

では、またお目にかかれる日まで、皆様ごきげんよう。 「どちら様のペットちゃんも、お健やかに。幸せでありますように」お祈りいたして。
かしこ.
女将 森 和歌子